何もしない

というのが案外難しく、このGWも何かをした。

今年は前後半に分かれて間に3日出勤日がある、という人は多かったと思う。例に漏れず私もそうである。

 

前半はほぼ突貫で大阪へメキシコ展を見に行った。

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↑一番生で見たかった死のディスク。

少しだけ写り込んでしまった人との比較で大きさが伝わると思う。

もちろんこれ以外にも多くの展示があったのだが、何よりもサイズが大きい石像が多く、それが剥き出しのまま展示されていることに驚いた。ガラスケースはおろか、大きな台に乗せられたままで、お手を触れないで下さい程度の注意書きしかなかった。自分が学芸員だったら気が気でない展示方法だ。閲覧者を信じるしかない仕組みに感服した。

 

展示方法の話はここまでとして、今回は馴染みの薄い分野なので音声ガイドを利用。雨の神・トラロック神に扮する杉田智和、質問役の上白石萌音の軽妙なやりとりで進む。

「祈り、畏れ、捧げた。」がキャッチコピーの今回の展示広告に違わず、ガイドの内容からは南米全域の過酷な自然環境で育まれた生贄の文化の理由が解説される。現代に生きる人間として、科学で習うように天体の動きもそれによる日没のサイクルも、はたして人間のはたらきとは無関係と理解してしまっている。しかしアステカをはじめとした彼らの文化では、それは所与のものでなく、神が自らを犠牲として世界が運営されている以上、人間が生贄となるのは当然の理だった。(と、そのように解釈した。)

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雨の神トラロック。

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「赤の女王」副葬品。

 

いい展示だった。惜しむらくは、会期もラストに差し掛かった故か、会館後30分後に訪れたら行列ができていたことだ。30分ほど初夏の陽射しの中で待つことになって、大阪の他のスポットを楽しむ余裕も無く、昼を食べたら速攻福井まで帰ってしまった。それでも訪れてよかったと言える。数十年に一度レベルの展示は人生で一度きりと言い換えてもいい。昨今の世界情勢は本当にどう転ぶかわからないことも含めて、貴重な展示は逃さないようにしようと強く感じた展示だった。